ふたりでおかいもの

ふたりでおかいもの

2021年7月24日

185

「ふたりでおかいもの」 いとうひろし 徳間書店

 

二月の図書館の読書会のテーマはいとうひろし。というわけで、彼の作品をいくつか読んでいます。
 
いとうひろしの作品は、穏やかな一人っ子生活にいきなり乱入してくる下の子をどう受け入れるか、がテーマになっているものが結構多い。「ごきげんなすてご」や「ふたりでまいご」などのシリーズだ。
 
この本では、主人公が道ですごく可愛らしい女の子に会って、かいぶつみたいな弟がこんな可愛い子だったら・・・と妄想するんだけど、あとでその子も結構な怪物だったとわかって、まあこの弟でもいっか、と思い直したりする。
 
それがわかった場所はスーパーマーケットで、そこで万引きまがいをやらかしちゃった弟くんのために、主人公であるおねえちゃんはたいへんな思いをする。でも、その話を聞いたおばあちゃんは大笑いして、そんなに楽しいお買い物なら毎日してもいいとさえ言ってくれる。
 
そして、最後においしいケーキを焼いて食べる。
 
いとうひろしの作品は、ものすごくいろんなことを考える子がよく出てくる。平和を乱す存在について腹を立て、それに対して自分が何ができるかを考え、行動を起こし、その行動の中で現実に出会っては、また考えなおす。そして、平和を乱したもののもつ意味に気付き、それを受け入れることを覚えていく。そこにはいつも大人によるつかず離れずの保護というか、受容があり、安全が保たれる。
 
と書いちゃうとなんだかシチめんどくさいが。現実を折り合いをつけ、それに良いものを見つける物語が多いんだよね。そのためには、たくさんの思考があるし、試行錯誤がある。まあ、生きるってそういうことなのかもしれないね、と読んでいて思う。
 
 

2015/2/16