くらたまとフカサワのアジアはらへり旅

くらたまとフカサワのアジアはらへり旅

2021年7月24日

56「くらたまとフカサワのアジアはらへり旅」
倉田真由美 深澤真紀 理論社

だめんずうぉーかーの倉田真由美と編集者の深澤真紀が、ソウル、バリ、香港、マカオ、バンコク、シンガポール、上海、北京を食べ歩く。それだけの本。

ソウルでポンテギ(カイコのさなぎ)にチャレンジして、一口であきらめたり、マカオのアフリカンチキンで舌がしびれて味が全くわからなかったり、タイのジュースが異様に甘くて、腸詰にも砂糖が入っていたり、シンガポールのドリアンパフで死にかけたり、と、かなり恐ろしげなものも食べてはいるが、総じて、うまいもの、豪華なものばかり食べ歩く、結構な旅の記録だ。なにしろ、交通費はHISが持ってくれて、ひたすら食べ歩けばいいって言うんだから、こんな旅ならしたいよなあ、と夫としみじみ言い合ってしまった。

でも、そういう結構な旅のせいだかなんだか、もともとだめんずうぉーかーでデビューした頃のくらたま独特のダメダメ感や毒味がぜんぜん感じられず、フカサワの文章も、これといって光る部分も感じず、ただただ、うまそー、食ってみたい!としか思わずに、全編読んでしまった。まあ、それでもいいのかなあ・・・・。

一番食べてみたくなったのは、バリのバビグリンというブタの丸焼き。バリには行ったことがあるけど、これは食べなかったなあ。それから、やっぱり韓国は美味しそうだ。サムパプという、30種の野菜を薄い豚バラ肉で巻いて食べる料理は、読んでいるだけでヨダレが出る。この間、札幌で食べた塩ジンギスカン、さっぱりして、肉とは思えないほどバクバク行けたけれど、あれに近い味かしらん、などと想像してしまった。

いくらでも食べられる若い頃は、金がなく、食欲のまだある中年直前は時間がなく、中年すぎの今となっては、金は多少あり、時間も無理すりゃ作れるが、胃がもう丈夫じゃなくなっている。人生って、思うように行かないのね。

2011/6/16