カエル屋敷のベンジャミン

カエル屋敷のベンジャミン

2021年7月24日

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「カエル屋敷のベンジャミン」 玖保キリコ 小学館

あら、玖保キリコ、久しぶりだわ、と図書館で発見。新しい本かと思ったら、10年も前の作品なのね。しばらく玖保さんとはご縁がなかったからなあ・・。

玖保キリコといえば、可愛くない子どもである。ご多分に漏れず、この本も、可愛くないベンジャミンくんが主人公。カエルが大勢繁殖しているというイギリスの大きなお屋敷で暮らすことになった孤児が、なぜ、自分がその屋敷に住むことになったのか、周囲の、やっぱり可愛げのない子どもたちと一緒にその謎を探っていく。

ベンジャミンの周りを固める老人たちのキャラクターが、これまた個性的で楽しい。元美人だったはずのマダムとそれを囲む男性陣は、みんなとてもいい人たちだ。好きだなあ、こういう人物像。

玖保キリコの描く子どもたちは、みんなそれぞれに多少ひねくれているし、素直に自分を出せない。だけど、とてもいじらしく、真剣に生きている。子どもって、そもそもがそういうものなのだ、と思う。

玖保キリコをあまり見かけなくなったのは、彼女がイギリスに移住したせいじゃなかったっけか。でも、そのおかげで、こんなイギリステイストの作品を描いていたのだなあ。最近の作品も読んでみたくなったぞ。

2012/7/4