テスの木

テスの木

2021年7月24日

48
「テスの木」
ジェス・M・ブロウヤー文ピーター・H ・レイノルズ絵 主婦の友社

重い話題、死にまつわるお話は読み聞かせには向かないとよく言われます。確かに、子どもに重い荷物を持たせたままにしておくのは良いことではありません。あとからフォローできる立場の人が読む分には構いませんが、読んでそれっきりの人が、子どもにずっしりと何かをもたせたまま放っておくのはいけないでしょう。

この本は、大事にしていた木が切り倒されてしまったあと、テスが木のお葬式をして立ち直るお話です。ある種の死をテーマとした物語ではありますが、読後感はそれほど重くはありません。大事な生命あるものとの別れを描くのに、大きな古い木をテーマにしたのは上手な選択だったのかもしれません。

お葬式とは、生き残った者達のためにある儀式だ、と私はいくつかのお葬式を体験してしみじみ思いました。失ったものの思い出を語り合うことで、心のなかにその人をうまく納める方法を見つけるのです。この絵本は、それを木をとおして教えてくれます。

だからといって、何かの代替としての物語ではない。ちゃんと木に対する愛情と思い出が伝わってくる良い絵本です。これなら、高学年の子にも安心して読んで聞かせられそうです。

読むと6分半程度かかります。

2013/7/8