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「ニッポン47都道府県正直観光案内」宮田珠己 本の雑誌社
この人の本は、基本、買うことにしている。なぜだろう。旅が思い切りしたくて、先々のことも深く考えずに会社をやめて数十年。結婚もして、子供も生まれて、ともかくもなんとかやって行けて、良かったじゃないか、と他人事じゃないかのように思ってしまうところがある作家である。何度かトークショーにも行ったし、サインもいくつか貰ったし。頑張ってくれよ、となんか思えてしまう人である。私が家に縛り付けられて、全然動けなかったときに、私の代わりに旅をして、報告してくれていた人の一人だ、という気持ちがある。そうだ。旅の本を読むことで、確かに救われていた時代が、私にはある。
さて、この本は、日本中の都道府県を、宮田珠己的に紹介した本である。だから、ベタな観光地はほぼ出てこない。綺麗な石が拾えるとか、まるで迷路みたいなへんてこな建物があるとか、そういうことがメインである。いいじゃない。世界遺産とか風光明媚とかは、他のガイドブックが散々紹介してるんだからさ。
これ、意外なくらい面白いよね、と夫に言ったら「それ、本の雑誌で連載してたやつだよ」と言われた。つまり、オンタイムで読んでたはずなのに、全然記憶に残っていないってこと。それって、私の記憶力に問題があるのか、それとも本文にインパクトがなさすぎるのか。まあ、どっちでもいいや。そういう本である。読み終えたら、結構すぐに忘れちゃうかもしれないけど、それでも面白い。で、行ってみたくなった場所だっていくつかあるしね。で、どこだっけ、それって。
2019/5/28