ヨレヨレごぶさた第4号

ヨレヨレごぶさた第4号

2021年7月24日

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「ヨレヨレごぶさた第4号」 ドンパン商店出版部

 

ご近所に新しくできた個性的な書店がある。そこで発見したのが、この雑誌だ。福岡にある宅老所「よりあい」という老人介護施設のことを全面的に取り扱っている雑誌だが、介護のことというよりは、宅老所のドタバタやその他雑多なことが載っている、かなり読み応えのある面白い雑誌である。扉には谷川俊太郎さんが「みんなイノチ」という詩を寄せている。
 
「死んだらどうする詩人対談」と題して伊藤比呂美と谷川俊太郎の対談が載っているのだが、これが素晴らしく面白い。ふたりとも、もう怖いもんなんてないから、言いたい放題だ。対談内で、伊藤比呂美が自分で翻訳した般若心経を朗読するのだが、これがまた素晴らしく心にしみる。谷川さんも負けずと自分の臨終を読んだ「さようなら」という詩を朗読する。これがまた、いい。
 
その他にも、澄江さんという、この宅老所の主みたいだった老女の最後をみんなで看取った合宿十日間の記録が載っていたりして、いい死に方ってあるよなー、なんて思う。
 
そういえば、今日の朝刊に伊藤比呂美のご主人の訃報が載っていたっけ。かなりのお年だったのね。ご冥福をお祈りします。比呂美さんも、お疲れ様でした。

2016/5/10