ラオスにいったい何があるというんですか

ラオスにいったい何があるというんですか

2021年7月24日

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「ラオスにいったい何があるというんですか?紀行文集」村上春樹 文藝春秋

前にも書いたが、私は村上春樹の良い読者ではない。エッセイは好きだが、本来の仕事である小説はあまり得意じゃないのだ。この本は、私が彼の仕事としては最も好きな紀行文を集めたものなので、とても楽しみにしていた。が、割と「普通」だった。

というのは、たぶん、この本のおおよそが、以前住んだことがある場所を再訪する紀行文で占められていたからだ。その場所に住んでいたときのエッセイは大抵読んだことがあって、新鮮に日々を楽しんだり、たまにトラブルがあったり、それをえんやこら、と乗り越えたりして楽しめたのだが、なんかこの本は、遠い日の思い出を振り返り語る、みたいな感じで、なんというか、新鮮味に欠けるからかもしれない。

最後の章は「漱石からくまモンまで」という熊本訪問記で、市民が如何に熊本城を愛しているかがみているだけでわかる、ということが書かれている。この本が出たのが2015年の11月だから、まだ地震の前だったのだなあ、と思いながらしみじみ読んでしまった。

2016/11/27