学校図書のバーコード化について

小学校で図書ボランティアに参加しています。普段は、新刊本にブッカーをかけたり、古い本の補修作業をしています。たぶん、区の方針として決定されたのだと思いますが、学校図書のバーコード化が始まりました。二学期に入り、図書室は一時的に封鎖され、ボランティア総出で作業が進んでいます。

私は週一回、全クラスで行っている読み聞かせボランティアの代表をやっています。図書ボラとは組織が違うので、バーコード化については知りませんでした。二学期に入り、いつも通り読み聞かせの日に、図書館に入ろうとしたら施錠してあるので、びっくりしました。バーコード作業のために高価なパソコンが二台、図書室に入り、子どもがいたずらでもしたら大変なので、施錠することになったそうです。

図書室には、大量の古い本が積み上げられていました。バーコードラベルを貼る作業を進めるに当たって、もう読まれないような古い本は廃棄するそうです。新しい本もたくさん購入されたし、棚もいっぱいです。どうせ読まれない本にラベルを貼るのは無駄です。それはわかります。ですが、廃棄予定の本を見ると、良質の古典的児童文学が、いっぱい。昔話の本も、いっぱい。ああ、もったいない、と思わず嘆息してしまいます。児童書の世界はシビアですから、増刷が余りかかりません。良い本でも、すぐに絶版になってしまいます。本屋に行っても手に入らず、図書館でしか読めない本、がたくさんあるのです。

子どもに人気があるのは、カラフルできれいな、本屋に行けばきっと売っているような本が中心です。それは、わかります。それを理解した上で、どうやって、良質の児童文学の面白さに気がついてもらえるか、本を読むのって、なんて深くて広い世界なんだ、と発見してもらえるか。それが、読み聞かせの大事な仕事のひとつだと私は思っています。廃棄される本の山は、本当は宝の山かもしれません。

でも、そうもいっていられない現実があります。書棚は限られているし、新刊本は並べたいし、バーコード化は、区から降りてきた方針で、逆らうことも難しいし、それならさっさと終わらせたいし。結局、古い本の中ならピックアップして、各教室の学級文庫に並べることになりました。これなら、図書館閉鎖中も子どもの身近に本が置けますし、良い本が残せます。

それは良かったのですが、図書館の施錠は、バーコード化終了後も続きそうです。子どもが自由に出入りすることが出来ない学校図書館。そもそも、学校司書の不在が問題なのだとも思います。児童書に詳しく、何をどう並べるべきかを選択できる能力を持った人がいるかどうかで、図書館の魅力はまったく違って来ます。私も本は好きですが、児童書の現状には、まだまだ疎い。何をどうしたら、良い図書館になるのか、わかりません。素人の手には余ることのようにも思えます。司書がいて、図書の動向に注意を払い、良いラインナップを揃え、パソコンの管理もしてくれたら、ずっと開けっ放しの、魅力的な図書館になるでしょうに。

それと、もうひとつ。パルティオの方から指摘をいただいたのですが、全てをパソコン任せにしてしまうと、子ども達は自分たちの手で、図書を管理するという学びの場を失います。たくさんの本をみんなで上手に借りるためのシステム、分類、整理の方法を、実際に行う経験を失うのです。今、カード管理していて、とくに不自由はありません。そんなに大量の蔵書があるわけじゃないしね。時代の趨勢として、データベース化があらゆる場所で行われていくのは理解できますし、それがたまたま今だったのも仕方ないことだとは思いますが、そのために失われるものの多さを思うと、やっぱりため息が出ます。

子どもに本を読ませたい、読書の習慣を、と説く教育委員会が、バーコード化も進めているんですけどね。

2007/10/4