家康、江戸を建てる

2021年7月24日

16

「家康、江戸を建てる」門井慶喜 祥伝社

 

夫からのおすすめ本。どうやらベストセラーでもあったらしい。
 
江戸の建設のために尽力した人達の物語。川の流れを変え、貨幣を作り、飲用水を引き、石垣を築き、天守閣を作る。こうやって江戸の町は作られたのだ、と改めてわかる。
 
長い長い年月がかかったのだな、と思う。父から子へ、子から孫へ事業を引き継ぎ、完成する頃には墓がいくつも立っている。墓石に、川と川の交じり合った水をかけて完成を報告するエピソードに胸打たれてしまう。
 
江戸なんて、ほんの少し前はただの湿った土地の集まりだった。田舎で、誰も振り向かない様な土地だった。ああ、だのに、今の地価と言ったら・・・。と、つい思ってしまう貧乏人の私である。
 
江江戸のまちづくりは、いろいろな視点からの本を読んだことがある。でも、この本はさらに新鮮であった。七井の池とか、三鷹とか、もう、馴染みに馴染んだ地名が出てきて嬉しくなる。幼いころに遊んだあの池が、あの細い川が、そうか、そうだったんだな、と臨場感を持って迫ってくる。
 
街は、最初からこの姿ではない。多くの人が、多くの手が加わって作り上げられたものである。それが、よく分かる物語だった。

2016/4/25