小銭を数える

小銭を数える

2021年7月24日

109
「小銭を数える」 西村賢太 文藝春秋

中野翠が「金魚のひらひら」で褒めていた本。早速、読んでみた。

R-1グランプリに出てくるキャプテン渡辺というピン芸人がいる。彼は「やあ、今日はクズの話をするよ」というネタをする。それを思い出した。

「クズはカネを借りるよ。・・・・返さないよ。」
「クズは、借金返済のために借りた金で、ビフテキを食うよ。」

というわけだ。
西村賢太、けっこうなクズっぷりである。

他人ごとだとクズの話は面白い。キャプテン渡辺のネタだって、たいそう面白いし、私は彼がブレイクしたっておかしくない、といつだって思う。西村賢太がブレイクしたのだから(したのか?したよな、芥川賞取ったんだから。)、キャプテン渡辺も同じ流れでいってもいいじゃないか、と思う。

金は借り倒す、働かない、女を殴る、嘘をつく。前科者でもある。
こういう男に、なんとなくくっついちゃって、だらだらと暮らしちゃう女っているんだよなー、と思う。
嫌だなー、と思う。
いやだけど、そういう奴がいることは、ものすごくわかってしまう。

他人ごとは面白い。
でも、近づかないでね、と思う。
遠くから眺める分には、西村賢太、けっこう面白いから厄介である。

2012/9/29