羊と鋼の森

2021年7月24日

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「羊と鋼の森」宮下奈都 文藝春秋

 

高校生の時、たまたま調律の場面に立ち会ったことがきっかけで、調律師を目指した青年の物語。ピアノを弾く双子の姉妹との出会い。北海道の山奥で育ち、わがままを言わずに育った彼が、ピアノのためにわがままをいっていることに気づく。美しい音への静かな情熱がしみじみと伝わってくる。
 
小川洋子の文体を思い出すような静かな文体だった。読んでいて、久しぶりにピアノが弾きたいような気がした。もう我が家に鍵盤楽器はないというのに。それがなんだか寂しいと感じるような本だった。とても良い本。おすすめです。

2016/11/7