恋愛列伝 上 

恋愛列伝 上 

159 齋藤なずな 小学館

副題は「愛と死の近代文学史」である。漫画である。きっかけは「いつか見た青空は」で中野翠が、この本の作者、斎藤なずなの「ダリア」という本を勧めていたことだ。「ダリア」は図書館になかったが、代わりにこの本があったので借りてみた。内容は、与謝野晶子と与謝野鉄幹、高村光太郎と智恵子、夏目漱石と鏡子、種田山頭火とその妻、田村俊子をめぐる男たち、有島武郎と与謝野晶子をめぐる恋物語であった。

学生時代、明治、大正、昭和期の女流作家たちの恋愛伝などを探しては読んでいた時期がある。その頃に知ったエピソードが漫画化されていたので、知識としては知っているものばかりだった。与謝野晶子と鉄幹の関係性など、若い頃の私にはイラつくようなものにしか思えなかったのだが、まあ、この歳になると、そういうこともあるかもねー、で済ませられるようになる(笑)。情熱だけで人は生きるものじゃないし、穏やかな愛情の深さも思い知るからだ。だとしても、鉄幹はあんまり好きじゃないけどね。

いったいこの人の「ダリア」はどんな作品なんだろう。ますます読みたくなった。

実はもう一冊、分厚い本を読みあぐねていたところ。気晴らしにこれを読んだら一気であった。もう一冊の方は、まだしばらくかかりそうだなあ。