生きてく工夫

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2023年10月28日

167 南伸坊 春陽堂書店

南伸坊を読むのは久しぶりだ。調べたら2018年以来であった。「オレって老人?」なんて本もあったっけ。これは2017年だから、さらに前。コロナ禍で時間が止まってしまって、それ以前のことが遠い昔みたいに思えてしまうから始末が悪いなあ。

というわけで、時間があっという間に経ってしまった結果、南伸坊はすっかりおじいさんになっていた。本書出版時点で73歳というから、そろそろ70代も後半に入っているのだろうなあ。いやいや、人のことは言えない、私も老人の仲間入りを始めているぞ。自分の年齢に慣れないうちに、どんどん年齢の方だけ先に行ってしまうような感覚。心はいまだに高校生、なんて言ったら気持ち悪がられるだけだもんなあ。

NHK出版「きょうの健康」に連載していたエッセイを集めた本だけあって、健康にかかわるテーマばかりが書かれている。で、老人が書いているから、どうしても、あそこが具合悪い、どこが痛い、どうすれば骨密度があがるか、お腹を引っ込めるにはどうしたらいいか、みたいな話になってしまう。

これが、妙にリアルである。リアルを感じるのは、読者である私の方だ。そう、私も齢を取ったから、それらが手に取るようにわかってくる・・・のである、やだねえ。夜ぐっすり眠れなくてトイレに起きてしまうとか、足がつるとか、あきらめることを頑張るとか。この本、若いころ読んだら面白くもなんともなかったかもしれないのに、なんか笑っちゃうし、頷いちゃう。老人力が付いたねえ、私も。

というわけで、この本は、老人の一端にひっかかり始めた以降の方にお勧め。若い人は、まだ面白くはないかもね。リトマス試験紙代わりに読んでみる???