オレって老人?

オレって老人?

2021年7月24日

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「オレって老人?」南伸坊 みやび出版

介護だとか認知症だとか、そんな本ばっかり読んでる今日このごろ。ついには「オレって老人?」とか言っちゃって。どうよ、この読書傾向。

南伸坊は、私がぴちぴちした二十代の頃、「ハリガミ考現学」なんかで笑いながら、おお、と感心したりさせてもらった人だ。それから「歴史上の本人」なんかで、真面目にふざけたことをやって、でも、そこには必ず知的な何ものかが秘められていて、かっこいいおじさんだな、と思っていた。三角おにぎりみたいな人なので、決して見てくれはかっこよくないのだが、私にとっては実に実にかっこよい大人の人であった。

が、その南伸坊も、今や老人なのである。1947年生まれだから、今年70じゃん!70だよ、70。立派なおじいちゃんだ。恐ろしいなあ。

この本は、幾つかの雑誌に連載したものの中からじじ臭かったりじじむさかったりするような文章を集めたものだ。いつどこでどのようなテーマで発表したかよくわからないけれど、それでいいじゃないか、と書いてある。うん、それでいいと思う。

「団塊世代の、ほぼ50%は。自分を老人と思っていない」と言ったのは南伸坊その人だ。電車で帽子を忘れた南伸坊が「おじいさん、帽子を忘れましたよ」と言われて、おじいさんとは私のことだったのか、と驚くエピソードも載っている。まあ、そんなもんだよなあ。私も生まれて初めて「おばさん」呼ばわりされたときは、驚愕のあまり頭の中で「おばさんおばさんおばさん・・・」とこだまが響いたものだが、いつの間にか慣れて受け入れてしまった。そのうち、「おばあさん」と呼ばれる日もかならず来るのだなあ。

南伸坊は自然体の人なので、おじいさんと呼ばれて驚きはしたものの、だんだん馴染んでいっているようだ。そうやって人は年老いていくのだなあ。いいおじいさんになれそうだ、南伸坊さん。私もいいおばあさんになるしかないなあ。なれるかなあ。

いかんいかん。どうも最近老人づいてしまっている。なんとかせねば。

2017/1/23