「あまちゃん」はなぜ面白かったか

「あまちゃん」はなぜ面白かったか

2021年7月24日

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「あまちゃん」はなぜ面白かったか  小林信彦 文藝春秋

 

週刊文春に連載中「本音を申せば」の2014年度分収録本。頑固だけど物知りで、ぶれない視点で社会を見ているこの人のコラムが、私は好きだ。
 
小林信彦は、一貫して東京オリンピックに反対している。前回の東京オリンピックでろくなことがなかったと経験を元に主張している。私もそう思う。それどころじゃないのに、何やってんのよ、と例の国立競技場の件を見ていても思う。
 
小林氏は「あまちゃん」を大評価している。私も珍しく朝ドラを毎日楽しみに見た。キャスティングが素晴らしかったし、ストーリーも絶妙だった。小林氏が週刊誌であんまり褒めているので見てみたのがきっかけになった。
 
あまちゃん以外では、「モヤモヤさま~ず」を褒めている。これまた、私がこのところ面白がって見るようになった番組だ。単なる街歩きの番組なのに、さま~ずと女子アナの掛け合いが実に面白い。それから、ちらりと友近のことを褒めているのも興味深かった。芸人としての友近のことは余りご存じないようなのだが、大竹まことのラジオ番組に「友近という女性が出るときはなるべく聞くようにしている」と一言。これは絶賛に近い表現である。友近は天才である、と私も思う。
 
フジテレビが面白くなくなったのは、吉本の関西芸人を使いすぎたせいだ、と書いていた。うーん、それはどうなのかなあ。小林氏は関西芸人がお嫌いで、東京のお笑いを好まれる。だけど、関西にもいい芸人はいっぱいいるんだけどなあ。
 
原発について、絶対に忘れず、ずっと厳しい物言いをしているのが頼もしい、というか、そうだ、忘れてはいけないのだ、と改めて思わされる。おいくつになっても厳しく鋭い視点をお持ちの小林信彦さん、いつまでもお元気でいらしていただきたい。

2015/7/13