野村萬斎

野村萬斎

2021年7月24日

「野村萬斎 What is 狂言?」監修解説 網本尚子 檜書店

ただこもっているのが辛いのではない。ひしひしと迫る恐怖と、終わりの見えない焦りが辛い。老親に何かあった時に駆けつけられない状況が、友達と直接合うことのできない抑圧感が、重苦しい。これが終わったら、何をするか。それを考えることが、たぶん、今を支えることになる。

というわけで、コロナが収束したら、私は狂言を見に行く。野村萬斎ファンでありながら、彼の本業を見ていないという負い目から逃れねばならない。狂言ってどんなものなのか、どうやって見るのか、楽しみどころは何なのか。それを教えてくれるのが本書である。

狂言の歴史から、型から、お面、小道具、舞台様式、能との関係性や修行の方法まで、あらゆる方向から狂言について基本から教えてくれる。そうか。狂言ってそういうものだったのか。と改めて、わかる。

写真が多用されているが、どれを見ても、狂言師の姿勢は美しい。あるべき位置にあるべきパーツがすべて固定されている。表情さえもが。

みんなも、考えよう。これが終わったら、堂々と外にでて、好きなことができる時が来たら。その日まで、妄想を膨らませて、日々を乗り越えよう。がんばろう。

2020/4/5