いとま申して

いとま申して

2021年7月24日

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「いとま申して 『童話』の人びと』北村薫 文藝春秋

 

数日間娘の部屋に泊まった後、定期演奏会で夫と落ち合い、その晩は神戸に宿泊。翌朝、福山からしまなみライナー(バス)に乗って大三島に出て、レンタサイクルで多々羅橋を走って生口島を巡った。平山郁夫が定宿にしていたという素朴な宿で一泊、しまなみライナーで今治に出て、そこから松山へ。伊丹十三記念館を見学して松山城を経て道後温泉泊。早朝、道後温泉本館で入浴、湯築城址見学の後、飛行機、新幹線を乗り継いで帰宅。長い旅だった。楽しかったけれど、あー、疲れた。
 
長旅で一番頭を悩まされるのは持っていく本の選択だ。多いと重い、少ないと退屈。今回は三冊抱えていって足りなくなったが、夫が一冊回してくれて事なきを得た。これが、夫が回してくれた一冊。
 
北村薫の亡き父親の日記を底本として、父親の中学、慶應予科時代をたどっている。雑誌『童話』に投稿、採用されて文筆に親しんでいた父親の話なので、当時の文学史をたどる物語でもある。児童文学史上で名前だけ知っていた雑誌が何冊か登場するので、非常に興味深かった。
 
それにしても、北村薫は父親を真っ直ぐに好きだったのだなあ、と思う。文脈から敬愛の情がにじみ出ている。こんな親子関係もあるのだなあ、いいなあ、と羨ましい。どうもここ数冊というもの、家族って・・・と考えずには居られない本ばかりだったなあ。
 
 

2019/12/1