101
「うたのすきなかえるくん」かこさとし さく・え PHP研究所
びんぼうなかえるくんは、病気で寝ているかえるちゃんのために、町で歌を歌ってお金を稼ごうとするんだけど、うまくいかない。しょうがないのでギターを売るハメになるのだけれど、ひょんなことから銀行強盗の犯行を屋根の上から歌でみんなに知らせる。そのおかげで褒められるし、仕事は手に入るし、そしてかえるちゃんもうまいこと病気は治る。めでたし、めでたし。
病気とか貧乏とか銀行強盗を捕まえるとか、一昔前の子ども向けの本のお約束エピソード満載の本ではあるのだけれど、古臭いの一言では片付けられないものが、かこさとしの本にはある。いや、古臭いんだけどね。
でも、この、失敗しても失敗しても諦めず、ひたすら大好きな人のために努力を重ねるかえるくんを、読んでいると好きにはならずにいられない。ご都合主義な展開も、まあいいじゃないかと笑って読めちゃうようなところがある。安心できる世界。
今時の子どもたちは、これを読んで楽しむのかなあ。良かったなあ、と安心して笑うのだろうか。
2015/11/16