夏から夏へ 一瞬の風になれ だれでも足が速くなる

夏から夏へ 一瞬の風になれ だれでも足が速くなる

2021年7月24日

「夏から夏へ」
「一瞬の風になれ」
 佐藤多佳子
朝原宣治のだれでも足が速くなる かけっこの極意は8つ!」 朝原宣治

以前に書いているかもしれませんが、私はスポーツ音痴で、オリンピックも、サッカーのワールドカップも、野球のワールドシリーズも、めったに見ません。
新聞のスポーツ欄も飛ばし読みしちゃうから、「誰もが知っているあのこと」をたった一人だけ、知らないことだって、時としてあります。

この本を読む前のことですけど、
「この間のオリンピックってどこでやったんだっけ?」
と尋ねて、さすがに
「北京だろ?」
と夫にあきれられた私。
けど、お答えにちょっと間があったように感じたのは、なぜですかね?
スポーツに関しては、夫だって、私と大して変わらない興味しか持ってないんだから。

で、北京で、日本陸上は、男子4×100メートルリレーで、三位入賞したんですね?
いやあ、知らなかった・・・そりゃめでたい。

「夏から夏へ」は、そのリレーの選手一人ひとりにスポットを当て、今までの人生、試合運び、練習、日々の暮し、さまざまなことを見せてくれる本です。


作者は、本当に陸上競技が好きなんだなあ、と思います。
尊敬と愛情のこもった、情熱の注がれた本です。

あっという間に終わるリレーの試合に、これだけのドラマがあるのね・・・。
好きってことは、ここまでいろいろ掘り下げられるってことなんだ。
すごいなあ。
ほんの数分に、命をかけた陸上選手もかっこいいっす。

「夏から夏へ」がノンフィクションなら「一瞬の風になれ」はフィクション。


高校生が、陸上でひたすらがんばるお話です。
清清しく、気持ちいいくらい、あっという間に読めました。
まさに、一瞬の風です。
前向きの、気持ちのいい、良い人しか出てこない小説だったなあ、って後から気づきました。
こんなさわやかな青春って、本当にあるんだろうか。

それにしても。スポーツって、こんなに人を魅了するものなんですね。
私、ちょっと損してるかしら。

・・・なんて、思ってたら、なんと、だれでも足が速くなるらしい。
「夏から夏へ」に登場した、陸上のアスリートたちの尊敬を一身に集める朝原宣治さんが、かけっこの極意を教えてくださる本がありました。

「朝原宣治のだれでも足が速くなる かけっこの極意は8つ!」 

「夏から夏へ」にも登場した本です。
佐藤多佳子さんが、取材中にお願いしてサインをいただいたエピソードが載っていました。

我が家のおちびは、運動の好きな子ですが、かけっこと水泳にちょっと難点があります。
とはいえ、昨年の運動会で結構な成績を出して、多少は自信がついたのか、最近は走ることにも積極的です。
今、体育で、リレーの練習をしているのですが、あれこれ工夫してがんばっている模様です。
そんなおちびに、この本を渡してやったら、結構真剣に読んでいました。

「ただ手を強く握り腕を早く振れば早く走れると思っていませんか?」〈本文より引用)

と言う項目があります。
担任が、「みんな、遅い!とにかく腕を振りなさい!腕を早く振れば早く走れるんだから!」と騒いでいるのを聞いて、よほどダメだしをしようかと思ったそうですが、思いとどまったとか。
担任の先生も、読んでくださるといいのですけどね。

さらっと読むなら、あっという間に読みきってしまいますが、きちんと実行を伴って読んでいくと、そりゃもう、何ヶ月もかかるかもしれません。
早く走るためのドリルなんかもあって、その16の項目をきちんと毎日10分間でもやり続けたら、確実に速くなるだろうなあ、と思えてきます。

8つの極意をここに書き出してもいいのですが、やっぱり、朝原さんの本を読んでほしいと思います。
たくさんの写真やイラストが入っていて、コラムもあちこちにあり、私のような文章読みには、むしろうるさい感じがあるのですが、本を読みなれていない子どもでも、飽きずに最後まで読む気にさせる工夫がされているのだろうと思いました。

秋の運動会に向けて、お子さんに薦めてみてはいかがでしょう。

2009/6/23