どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?

どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?

2021年7月24日

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「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」
内田樹 高橋源一郎 ロッキング・オン

夫が借りてきた本。締め切りに追われて、急いで読みました。だから、印象に残ったことを幾つか。

「結局、金だろ?」が、実は戦後日本のスローガンであった、という指摘には頷いてしまう。あの時代、城南信用金庫だけは、こんなんでお金が増えるのはおかしい、とバブルに手を出さなかったおかげで、被害がなかった、という話に驚く。ただ、右から左に何かを動かすだけでお金が儲かるなんて、おかしい、と、ごく当たり前に感じられる人が、そこにいたのだなあ、と思うと同時に、そこにしかいなかったのか、と思う。

原発だって、地方自治だって、「結局、金だろ?」で動いている。公務員たたきも、生活保護不正受給の問題も、「結局、金だろ?」に帰結してしまう。私たちは、お金が一番大事なのだろうか。今こそ、優先順位をはっきりするべきだ、と私も思うな。お金なんて、実は少し後ろの順位に下がってもいいものだ。

3.11以降、政治家は実はこれっぽっちも変わらなかった、という指摘に納得する。納得すると同時に、落胆するのだけどね。「未曽有の大惨事」と言う言葉で片づけちゃって、終わったことみたいにされている。

高橋源一郎が、橋下徹を知ろうと思って、彼の著作を読みまくっているうちに、「ちょっと好きになってきちゃった」というのには、笑った。それを聞いても橋下氏はこれっぽっちも嬉しくないだろうけど。確かに、物語の主人公としてはキャラが立っている。ジュリアン・ソレルと比較したのは秀逸だった。

2012/10/9