エドワードとうま

エドワードとうま

2021年7月24日

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「エドワードとうま」アン・ランド文 オーレ・エクセル絵 岩波書店

 

高校生の時だったか、誕生日プレゼントに何がほしいかと聞かれて、「うま。」と答えたことがある。頭にあったのは、たぶん長くつ下のピッピなんだと思うが、家の軒先に馬をつなげて飼うというアイディアはなかなかよろしい、と思っていた。当時、私は登校するのに、自転車で最寄り駅まで行っていたのだが、その代わりに、ぱからっ、ぱからっと馬で駅に乗り付けられたらそりゃあかっこいいよなあ、と思ったものだ。が、我が家には既に犬が一匹いて、その子に悪いからやめましょ、とあっさり却下された。犬がいなくたって却下されただろうけれど。
 
エドワードはせのたかいビルの町のマンションの21階に住んでいる。マンションの入口には「いぬねこおことわり」と貼ってある。「うまおことわリ」とは書いてないからいいんじゃないかとコインを100枚ためる。でもそれでは全然足りない。
 
しょうぼうしのマイク・オトゥールに「でかくて しろくて つもったばかりの ゆきみたいに きらきらしてる」「じぶんでおかねをかせぐ」スミティという馬がいると教えられ、町を探しまわる。そしてバナナやトマトやにんじんなどをつんだまっかなワゴンをひいたスミティをついに発見してマンションに連れて行く。
 
マンションは大騒ぎになった。でも、おいかけてきたスミティの持ち主のおじさんは、乗りたかったらいつもでいいよと親切にも言ってくれた。マンションの入口の張り紙は「いぬねこうまおことわり」になったけどね。
 
絵が楽しい。とてもおしゃれな絵だ。ビルばっかりの大きな町にも、子どもたちの楽しい場所はあるとわかる。エドワードってば、デパートを探しまわった後、コイン三枚で一人でタクシーに乗るんだぜ、ためらいもせずに。すげー都会っ子だ。
 
我が家のそばには、じつは馬を飼っている場所があって、時々道をお散歩しているのにも出会う。馬って大きいよ。あれを玄関のガレージで飼うのはやっぱり無理だったろうなあ。ましてやマンションの21階は無理だね。
 
読み聞かせると7分半程度。

2016/3/3