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「逃避めし」吉田戦車 イースト・プレス
吉田戦車。なつかしい。思えば、結婚当初、我々夫婦は吉田戦車に驚愕していた。「鋼の人」だったっけか。あれに出てくる「酢屋の銀次」というキャラクターの凄まじさに打ちのめされていたものだ。「火星田マチ子」なんてのもいたっけ。想像を絶する造形に、感動すら覚えたものだった。「戦え!軍人くん」も読んだなあ。
それから、「伝染るんです。」で結構ブレイクしたんだっけ。売れると気持ちが覚めてしまうのが、悪い癖。以来、あんまり彼の作品は読んでいなかったけれど。知らないうちに、伊藤理佐と結婚したりしていて、びっくりした。
この本は、漫画作品じゃなくて、彼が仕事から逃避するために仕事場でこっそり作るジャンクな料理の記録みたいなものだ。
「ひとまねこざる」の「うどん」やら、「ちくわの穴確認弁当」やら、「味噌煮込まないうどん」、「手ばさみホットサンド」などなど、漫画作品同様、一筋縄ではいかない、あんまり真似して食べたいとは思えないような料理が次々と繰り出される。
漫画ほどインパクトはないけれど、やっぱり変なやつだなー、としみじみ思う。
それは、それで、わりと楽しい。
2011/10/11