もしものせかい

もしものせかい

2021年7月24日

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「もしものせかい」ヨシタケシンスケ 赤ちゃんとママ社

昨年2月に出された絵本。出版社を見る限り、子供向けのつもりなのかもしれないけれど、非常に抽象的な内容だ。

「夜が暗いとはかぎらない」で、ばあちゃんが死んでも、じいちゃんの中に、ばあちゃんは細切れになって入り込んで生きている、というシーンがあって、はっとするくらい胸を打たれてしまった。それと同じようなことをこの絵本は言っている。

何かをなくしたり、何かが消えてしまったとしても、君の中のもしものせかいにそれはちゃんとあって、いつまでもきみと一緒にいる。とても大事なものを失ったら、いつものせかいはとても小さくなってしまうけれど、何もしなくても、それはまたちゃんとふくらんでくる。もしものせかいが大きければ大きいほど、いつものせかいもふくらませられる。なぜなら、もしものせかいは、君だけのためのエネルギーの塊だから。

というのね。そうだなあ、と思う。ここから色々考えることも出来る。でも、なんだか抽象的すぎて、子供がどこまでわかるかなあ、とも思う。すぐに分からなくても、これってなんだろう、と頭の隅に引っ掛けておいて、いつの日か、ああそういうことか、と思いだして気がつくことだってあるかもしれないから、それでいいのだけれどね。

でも、ちょっと難しすぎて、ヨシタケさんの、うじうじ思い悩むところは好きなんだけれど、消化不良すぎやしないかい?って思う。詩とか、絵本とかって、そういうものなんだろうけれどさ。むずかしいなあ。

2021/3/10