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「ひどい感じ 父・井上光晴」
井上荒野 講談社
井上光晴の作品を、私はちゃんと読んだことがない。読まなくちゃダメだな、と思った。井上光晴は、大法螺吹きだったのだ。自分の家族にすら、いっぱい嘘をついていた。つきとおして死んでしまった。うん、そういう奴、好きだ、と思う。小説家なんて、そうでなくっちゃ、と思う。
本筋からは離れるかもしれないけれど、癌は、切りさえすればいいと思ってたんだね。癌って、そんなふうに思われていたのか。
井上荒野の文章の、不思議にかわいた、冷静な感じは、ここから来たのだなあ、としみじみ思う。
2011/9/2