ぼくの歌・みんなの歌

ぼくの歌・みんなの歌

2021年7月24日

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「ぼくの歌・みんなの歌」 森達也 講談社

「ホテル・カルフォルニア」から始まって、「出発の歌」、「スカボロー・フェア」や「イマジン」、「勝手にシンドバッド」や「傘がない」などなど25曲にまつわるエッセイが集められている。エッセイといっても、森さんだもの、もったりと重く、ねっとりと私的に濃い内容となっている。

一番印象的だったのは、ちあきなおみの話。近所で散歩するちあきなおみを見かけたというのはウソか本当か。友川かずきが作った「夜を急ぐ人」を熱唱するちあきなおみの姿を見て、小学生だったナンシー関が、「ちあきなおみが狂ったかと思った」と書いていたというエピソードに引きつけられた。youtubeで探してみたら、おお、なるほど、小学生が見たら狂ったと思うかも。

と思っていたら、ナインティナインの岡村が同様に友川かずきとちあきなおみに異常に惹きつけられていて、深夜番組で熱く語っていることもわかった。この本が出されたのが2007年で、岡村が騒いでいるのが2012年だから、岡村が後出だが、この本は読んでないな。気がつく人は気がつく凄みというものがちあきなおみや友川かずきにはあるということだろう。

この本の中では、私が聞いたことのない曲も論じられていて(というのも、私は音楽にはあんまりくわしくないからね)、思わずあれこれ探して聞いてしまった。

小室等の座右の銘には深く共感した。
「おどおどしながら、しかし、退かず」

2013/2/19