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「カオスノート」吾妻ひでお イースト・プレス
先日、友人と渋谷パルコで「ショー・ガール」を見た。待ち合わせはパルコ地下のブックセンター。本屋での待ち合わせは危険である。わが家の本棚状況から、基本、本は借りる、と決めているのに、気が付くとバッグが膨らんでいく。今回も気がついたらこれを含めて三冊も買ってしまった。
こんな本が出ているとは知らなかった。大丈夫だろうか、と逡巡する。帯には、新作であること、シラフで描いたこと、幻覚ではなく創作であることが印刷されていた。もう少し情報を得てから買ったほうが・・・と思いつつも、欲望に負けた私であった。後で調べたら、買ったその日が売り出しの日だったので、まだ書評が出ていなかったのだ。だから知らなかったのね。
「アル中病棟」を読んで、きっとこの人は大丈夫だ、戻ってくる、と思ったものだ。それでも心配だった。この本を読んでも、読み始めは、幻覚じゃないか、破綻していくんじゃないかと不安だった。
だけどすごいよ。これはすごい、と私は思った。あづまさんはこういう人だった、こういう作品を描く人だった。いや、こんなにすごかったっけ。どこまでもすごい。こんなすごいものを描いて、この人大丈夫か、と逆に心配になるほどだった。
研ぎ澄まされたあずまワールド。
とても、面白かった。
2014/9/8