キングダム

2021年7月24日

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「キングダム」原 泰久 集英社

 

皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 
さて、年末年始に私が何を読んでいたかというと、「キングダム」全40巻である。一巻を読み始めた時にブログに記録したような気がしていたのだが、どこを探しても、ない。ということは、記録し忘れていたのね。全部読み終えてから書くつもりだったのかなあ。といっても、40巻で「第一部 完」なのであって、第二部は未だ連載が続いているのである。読み終えるのはいったい何年先になるのだろう。
 
第17回(2013年)手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。てことは今さっき知った。やっぱりいい漫画は評価されてるのねー、と今更ながらに思う私である。そんじょそこらの下手な小説よりもずっと読み応えがある漫画だ。
 
作春から世界史の勉強を初めた。中国史は難しいが面白い。この漫画は秦の始皇帝の中華統一の物語である。教科書だとほんの三行で終わるくらいの出来事が四十巻の漫画になっている。歴史って深い。
 
人の死なないミステリが好き、というほど臆病者の私であるが、この漫画は1ページに何百人、何千人と死んでいく。それも、剣でまとめて何十個もの首がばしゅばしゅ飛んでいくのである。死体、出まくりなのである。なので、最初の十巻ほどは心をうすーくして半眼になって現実味を味わわないように、味わわないように気をつけた。それでも読んでると体のあちこちが痛かったし、剣を振り回す鎧の男に追い掛け回される夢を見たりもした。が、人って慣れるのね。それ以降は、どんなにがんがん人が切られても、いちいち痛がらないようにまでなった。やれやれ。
 
戦争孤児の信という少年が、始皇帝である政という少年と中華統一を目指す物語。信は天下の大将軍になるのが目標だ。戦いと、政争と、恋と家族と友情と、歴史が描かれている。作者は相当歴史を勉強している。好きなのだろうなあ、あの時代が。
 
それにしても、物語に描かれる人の命の重みの違いには愕然としてしまう。数百、数千単位でじゃんじゃん消費される雑兵たちと、全員が命がけで守る一人の人間。世の中って不公平だ。歴史はそうやって作られてきたのだろうなあ、と思う。過去の私が生まれ変わって今の私が居るのであれば、あの時代の私は絶対にじゃんじゃんあっという間に殺されて終わりの雑兵の一人だ。命の重みは同じはずなのに。とんでもない数の人間が、そうやって生まれては死に、生まれては死にして今につながっているのだ。どんなに殺されても、また新しい命が生まれてきたのだ。人間って、すごい。
 
40巻読み終えてしまって、次がないよー、と飢えている。これからはじわじわと出される新刊を読んでいくしかないのだな。ああ、先が読みたい。

2016/1/7