クローバー・レイン

クローバー・レイン

2021年7月24日

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「クローバー・レイン」 大崎 梢  ポプラ社

「サワキの予約した本、こっちで借りてきてるぞ」と夫に言われた。打ち合わせして予約を入れるわけではないので、ときどき、同じ本を頼んでいることがある。いったい、どこでこの本に引っかかって予約したのか、ふたりとも覚えていないんだけど、たぶん、同じ書評を見て読みたくなったんだろう。そういうわけで、自分の予約よりも早く読めましたとさ。

この人の本は以前に「配達あかずきん」を読んだことがある。この人、どうやら元書店員らしい。本を売るということに対する並々ならない愛情を、物語から感じる。

いいお話だった。「これは『舟を編む』だな」と夫が言った。そうなのよ。辞書じゃなくて、一冊の本を世に送り出すまで、たくさんの人がその物語に愛情を注いで、手をかけていったことがわかる。本っていいよね、と読んでいてしみじみ思う。本について語り合える人と巡り会う幸せも、同時に思う。

2012/12/23