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「サンタクロースのくるひ」西巻茅子 福音館
おとうさんとおかあさんがお仕事で外国に行ってしまっているので、マリちゃんはおばあちゃんと暮らしている。そこへ、「クリスマスにはサンタクロースがきてくださいますよ。」というおとうさんとおかあさんからのお手紙が来る。
キャンディをなめながらさんぽにでかけたマリちゃんは、街角のクリスマスツリーの上にいるエンジェルちゃんにキャンディをあげる。エンジェルちゃんはマリちゃんの手を握って、空を飛んでくれる。
降りた林の中でもみの木をほったり切っているおじいさんにもキャンディをあげる。帰りがけにふりむくと、おじいさんはサンタクロースだった。
夜、寝ているマリちゃんにサンタクロースが届けてくれた贈り物が何だったかというと・・・。
子どもの物語には、両親がいなかったり、離れ離れになっているお話が多い。寂しくもあるのだろうけれど、それって、割に子どもの願望だったりもする。自分一人で、誰にも命令されずに好きに一日を過ごすなんて、幼児にはめったにないことだものね。
マリちゃんは独立独歩で、自分の意志で歩き、自分のキャンディを自分の考えで好きな人にあげて、ちゃんと帰ってくるし、おとうさんとおかあさんのおてがみにあった約束もきちんと遂行される。何でもない単純なストーリーだけれど、これって、満ち足りた幼児の物語だ。
2017/11/20