バルーン・タウンの殺人

バルーン・タウンの殺人

2021年7月24日

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「バルーン・タウンの殺人」 松尾由美 創元社

「煙とサクランボ」が面白かったと書いたら、おはなしでてこいさんが教えてくださった本。ありがとうございました。

人類が、妊娠出産という機能を機械に託すようになった近未来のミステリ小説。そんな便利な方法があるにもかかわらず、「野蛮」な妊娠、出産を未だに自らの身体でしようという奇特な女性を集めたバルーン・タウンに、事件解決のために派遣された独身女性が主人公。

妊婦の特性があらゆる事件に関わってくるので、妊娠、出産経験者には、かなり笑える。でも、未経験者が読んでも、今ひとつぴんとこないかも。きっと作者は自分の経験を反映させて書いたんだろうなあ。だって、あれは、本当に特異な体験、それまで知らなかった世界だもの。ものを書く人間は、これを書かずにいられるか!って思うわよねえ・・・・。

それにしても、ハーロック・ホームズのパロディには笑った。踊る妊婦って・・・亀腹同盟って・・・・会陰保護が事件の重要なポイントになるのにはぎょっとしたけど。

なるほど、我々母親たちには楽しめるミステリだったのでした。

2012/3/13