煙とサクランボ

2021年7月24日

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          「煙とサクランボ」松尾由美 光文社

椅子に腰掛けたまま、他者からの情報を元に推理する探偵を「安楽椅子探偵」と呼ぶ。ところが、安楽椅子そのものが探偵だったという「安楽椅子探偵アーチー」に出会ったときは、その設定そのものに笑ってしまった。それを書いたのが、この松尾由美さん。ところで、この本は、主人公が、生きていない。もう死んじゃった存在、というかつまり幽霊だ。相変わらず設定に凝るなあ、とまた、笑ってしまった。

幽霊って、家族や関係者には見えないけれど、なんの関係もない人には、普通に見えているらしい。だとすると、案外、道ですれ違ったあの人は、幽霊だったのかも?なんて、ふと思ってしう。

その幽霊が、妙齢の女性の幼い頃からの謎を見事に解いていく・・のだけれど。煙に巻かれたようなお話だ。案外、面白かった。

2012/2/29