タリン、ヘルシンキ旅行記 1

タリン、ヘルシンキ旅行記 1

2021年7月24日

娘が大学生になって、家を出た。久々の夫との二人暮らしが始まった。二人から三人になり、四人になり、また三人になって、二人に戻った。

何が変わったって、家を自由に出られる。娘の帰宅時間を気にして夕食の準備をしなくてもいいし、夜遊びだって出来る。夏休みじゃない日程で旅行もできる。今までだってできないわけじゃなかったが、娘を置いて家をあけるのに、私は抵抗があった。お帰りなさいをできるだけ言ってやりたかったし、夕食を一緒に食べたかったし、朝食も準備したかった。娘のためというよりも、私がそうしたかったのだと思う。だが、それもついに終わった。

というわけで、もともと旅好きの我々夫婦はちょいちょい出かけるようになった。夏休み期間は避けて、9月にそろそろ海外に出ないか、という話にもなった。ただ、今年は夫の仕事の都合で、どうやら長くても六日間くらいしか続けて休めそうにないという。六日間って、微妙だ。

最初は近場を検討した。台湾、ベトナム、韓国、バリ。なんとなく心が踊らない。何しろ、暑そうだから。散々行った沖縄は、今でも何度でも行きたいのだが、最近は近隣アジア諸国の旅行者が多くて混んでいるとも聞く。じゃあ、オーストラリアは、ニュージーランドは、など調べるも、興味が今ひとつわかない。

本当はベネチアやバルセロナに行きたくてたまらないのだが、六日間じゃもったいない。もっと時間をかけてじっくり行かなくちゃ。などと迷っている時に、新聞広告に載っていたのが「フィンランドの美しい村ポルヴォーも訪ねる おとぎの国エストニア・タリンとデザインの街ヘルシンキ5日間」というツアーである。5日間で北欧。しかも、日程が夫の休みとぴったり一致する。ちょっと心が動いた。

とはいえ、実は私も夫も団体行動が苦手なタイプである。個人旅行が基本だ。ツアーを頼むときも、交通機関と宿泊のセットにして、団体には入らない、添乗員もなし、が原則である。どうすっかなあ・・・というわけで、最初は夫が、たまっているマイルを使ってヘルシンキ往復を手配してみようとした。が、なかなかうまくいかない。嫌になっちゃって、試しにそのツアーに電話してみたら、予約できると言うので勢いで申し込んだ。いいのか、それで。

息子と娘も誘ってみる。行くと行ったら全額出してやるが、どうする?と。息子は、学会と学会の間で超忙しい時期だが、アゴアシ付きで海外旅行が出来るチャンスは逃したくないらしく、乗ってきた。娘は、行きたくてたまらないが、どうしても部活があってダメだという。かわいそうに。おみやげ買ってやるからねー。

それにしても、団体旅行、一緒の人がめんどくさかったらどうしよう。トイレ休憩ばっかりだったらどうしよう。大丈夫だろうか。少し不安であった。が、結果としてそれは杞憂だった。パック旅行も悪くないじゃないか、と思える内容だった、ということを先に記しておきたい。

出発数日前にはコンダクターから電話が来た。そんなサービスまであるのね、と感心するパック初心者の我々。結構寒いので、暖かくしてきてね、雨が振りやすいので雨具もよろしくね、フィンランドサウナに入りたかったら水着も準備したほうがいいかもね、とのこと。ちょうど暑さがぶり返した東京では、Tシャツ一枚でふうふう言っていたところだ。暖かい格好と言われても、ピンと来ない。ユニクロのウルトラライトダウンくらいがちょうどいいです、だって。そのせいか、メンバーの多くがユニクロ揃いでおかしかった。私は長袖のシャツと、ウール入りのカーディガンと、厚手のパーカー、防寒も兼ねた帽子に、田部井淳子さん直伝のスカーフを準備した。あとはジーンズ中心に、機内用に伸縮性のいいパンツ。以上で、ちょうどいい具合であった。

出発当日は、早起きして成田へ。事前に空港に送っていたスーツケースを受取り、JALのカウンターへ行く。電話をくれたコンダクターが待っていてくれた。いろんな旅の道具の入った袋を渡される。ガイド用のイヤホンなんてものがあるのね。そこから、チェックインして、長々と歩き(国際線って広いのね。十分以上歩いたと思う。)ぎりぎりの時間に息子が札幌から到着。やれやれ間に合ったのう。

というわけで、やっと飛行機に乗った我々なのであった。

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2017/10/16