夏休み旅行記5

夏休み旅行記5

2021年7月24日

朝、起きたら、夫の姿が見えません。朝風呂にでも行ったのかな?と思っていたら、程なく帰ってきました。朝の梓川を撮りに行っていたのだそうです。朝は、人影がなくて、とてもきれいだった、とのこと。

ふうん、と外を覗いてみたら、あらまあ、宿のすぐ前の木に、猿がいます。

朝の散歩をしている人が、すぐ側で見上げていますが、全然人を怖がらない。大事にされているのでしょうね。

まだ眠がっているおちびを起こして、朝食に行きます。戻りがけ、ロビーにある図鑑で、草花の名前をにわか勉強します。トリカブトが自生しているらしい。覚えておくと、なにかの役に立つかもね、ふふふ、と不敵に笑うおちび。紫色の可憐な花のようです。

さて、本日は、昨日とは反対方向、田代池と大正池を目指します。梓川右岸を川沿いにずんずん歩きます。湿原に入ると、綺麗な花が咲いています。おお、もしかして、トリカブト?

ちょっと齧ってみればわかるかもよ、となどと言い合います。後で、詳しい人にお聞きしたら、これはトリカブトじゃなくて、タテヤマウツボグサじゃないかしら、とのこと。そうだったのか!!密かに持ち帰らなくてよかった。って、何を考えてるんだか・・・。

しばらく行くと、ウエストン碑。日本アルプス登山の」開拓者だそうです。

田代橋を渡って、左岸に行きます。遊歩道の林間コースに入ると、湿地の中の木道が続きます。木陰の濃い道です。湿原から、美しい穂高連山が見えます。

さらに進むと、田代池。澄んだ水が美しい。手を浸すと、びっくりするほどの冷たさに、しびれるほどです。

そこから、さらに進みます。左側のバス道の車の音が聞こえると、ちょっと興ざめです。でも、ここは、限られた車しか入れない、守られた場所なのです。バスだけは、許してあげないと、何しろわたしたちだって来れませんからね。

急に人影が多くなった大正池に到着です。近くのバス停から、観光客が先にここに来るのでしょう。

立ち枯れの木がそびえています。焼岳からの溶岩が、木を焦がしたそうです。

お腹が空きました。ここにもレストランはありますが、ちょっと戻りましょうか。頑張ってきた道を戻り、帝国ホテルに入ってみます。リッチだわー。

有名な「グリンデルワルト」は長蛇の列だったので、おとなしく和食処に入って、お蕎麦やヤマメをいただきます。それからおみやげ屋さんを見るだけ見て、宿に戻りましょう。

今度は、左岸の林間コースをのんびりと歩きます。川越しの奥穂高の眺めが美しい。

どちらを向いても、美しい山々が見えて、夢のような気持ちになります。いいなあ。こんなところに住んでいたら、気持ちいいなあ。

でも、冬はたいへんだぜ。トンネルもふさがっちゃうし、ひたすら雪道を歩き続けないと、外界にも出られない、と夫。だよなあ。老後を上高地で、はちょっと無理そうですな。

河童橋近くまで戻って来ました。お疲れ様で、ソフトクリームを三人で分けっこします。これはおいしい。とりあえず、宿に帰りましょう。

荷物をおいて、一休みしたけれど、まだ時間はあります。どうする?と、夫が、五千尺ホテルでケーキを食べよう、と言い出します。学生時代、一週間テントで過ごして、唯一の贅沢が、一回だけ、五千尺で食べたケーキだったのだそうです。おお、思い出の味ね。でも、思い出が味付けしちゃって、美味しくしてるのかもよ。まあ、行ってみよう。

というわけで、ケーキです。すずあかね苺のタルトと、洋梨のタルト。これが、夢じゃなく、間違い無く美味しかったのです。

ケーキにすっかり満足していたら、トイレに行ったおちびが興奮して帰ってきました。
「お母さん、電話が未来なんだよ。」
なに、それ。
「いいから、未来なんだから、見てきて。」
で、見に行きましたよ。

銀色に光った、見たこともない公衆電話が、今にも動き出しそうな姿で、立っていました。

2012/11/1