ハナモゲラ和歌の誘惑

ハナモゲラ和歌の誘惑

2021年7月24日

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「ハナモゲラ和歌の誘惑」笹公人 小学館

 

「ハナモゲラ」語は。日本語を知らない外国人が日本語を聞いたらどんな感じだろう、という観点から始まった言葉らしい。山下洋輔とその仲間内から始まったとされているが、実はそれ以前に、大橋巨泉の名作がある。
 
みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれすぎかきすらのはっぱふみふみ 大橋巨泉
 
そこから始まって、例えばギタリスト渡辺香津美の作品
 
「大変に汚いさまを詠める」
さなだむし じるつゆのおり こきかじり みがほろとばる あじめどあくさ
 
筒井康隆の「裏小倉」作品(本歌取り)
 
秋の田の仮庵の庵の苫をあらみわが衣手は露に濡れつつ 天智天皇
あきのたの かれきのいわの うまをはやめ あかごのむれは かゆにむれつつ
 
また、ツイッターやフェイスブックなどで有名になった「連続駅名五七五七七」
 
浜松町 田町 品川 大井町 大森 蒲田 川崎 鶴見
 
更には極めつけの連続番号短歌
 
一二三 四五六七 八九十 十一十二十三十四
 
などなど様々な作品がある。この本は、そういったハナモゲラ和歌を割に大真面目に論評している。ミュージシャンのハナモゲラ和歌が優れている、という指摘は、おお、そうかも、と思った。
 
寺山修司の話などもあって、短歌というものへの興味を引き出される本だった。
 
(引用はすべて「ハナモゲラ和歌の誘惑」より)

2017/7/12