100万分の1回の猫

100万分の1回の猫

2021年7月24日

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「100万分の1回のねこ」 講談社

 

佐野洋子が死んだことはいまだに悲しくて、でも、きっとみんな同じ様に悲しくて、それでもこの世界には佐野さんの作った絵本や文章がたくさん残されていて、私達を励ましてくれている。
 
この本は、佐野さんの「100万回生きたねこ」の100万回のうちの一回ずつのねこの生涯を、佐野さんが好きだった、佐野さんの不在を悲しむ作家たちが描き集めたものだ。ねこは、本当にいろんな生涯を味わっていたんだなあ、とつくづく思う。
 
意外なことに、江國香織さんの作品が面白かった。江國さんにちょっと偏見がある私は反省した。井上荒野も良かった。谷川さんは、淡々としていた。息子の広瀬弦も、そうだった。
 
道で退屈そうなねこに会うと、あ、この子も100万分の1のねこなのかも、と思うかもしれない。

2019/2/9