先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!

先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!

2021年7月24日

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「先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!
[鳥取環境大学]の森の人間動物行動学
小林朋道 築地書館

前に読んだ「先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!」の続編。
この先生は、本当に動物が好きで、学生に教えるのが好きなんだなあ、としみじみ思う。こんな先生に習ったら、学生も、学問がさぞかし楽しかろうに。

表題にもなった、イタチを攻撃する子リスたちに関する実験では、ひょんな事でもらわれてきたフェレットが活躍する。このフェレットのミルクちゃんが、実にかわいい。写真が載っているのだが、もう、抱きしめたいくらいかわいらしいのだ。

だが、先生は、こんなことも言っている。

私は、かわいいからという理由で、いろんな外国の動物を飼いたがり、服を着せたり、リボンをつけたりして世話する行為に大きな不安を感じている。
動物の心を思いやって大切に付き合っていくということ自体は、大変よいことだと思うのである。しかし、動物によっては、その国で個体数が減少している動物であったり、逃げ出して日本で野生化し日本の生物に被害を与えたりする可能性があるものであったり、かわいらしさに馴れてくると粗末に扱うようになったり、また、われわれの生活の身近な自然のなかにいる、一見かわいくないような、また、ちいさくて目立たないようなたくさんの生物に対する繊細な好奇心や愛情(レイチェル・カーソンはそれをセンス・オブ・ワンダーとよんだ)が育たないと思うからである。

と、このように、大事なところにしっかりを釘をさすこの先生を、私は改めて、信頼し、好きだと思う。
それに、彼はその後、こう付け足すのだ。

しかし、そんなことも承知のうえで、十分注意したうえで、目の前にいる、この愛すべきミルクを大切にしてかわいがることはいいことだ。

おちびが中学に入学して以来、理科が楽しくて仕方が無いという。プランクトンの学習がきっかけだったようだが、そこから、生物全般に目が行っているようだ。この本は、中学生にも十分読めるので、勧めてみたら、読む気満々だった。

2011/5/25