土佐堀川

2021年7月24日

81

「土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯」古川智映子 潮出版

 

図書館で予約していた本。なんでこの本を読もうと思ったのかすっかり忘れてしまったわ、と思いながら読んだけれど、そうか、連続ドラマの原作なのね。それで書評が出て、ヒットしたのかも。
 
大同生命の創始者で、日本女子大学の設立にも大きく寄与し、市川房枝にも大きな影響を与えたという明治時代の実業家、広岡浅子の生涯を描いた作品。広岡浅子は豪商三井家のお嬢様で、両替商加島屋へ嫁ぐ。おっとりして働きのない夫を置いて、九州の鉱山を買い取り、ピストルを懐に荒くれの鉱夫と渡り合って石炭商売の経営を軌道に乗せる。これからは生命保険だと、小さな生命保険会社を買い取り合併して大同生命を作る。女性にも教育を、と言われて資金繰りに奔走し、実家の別荘跡地を敷地提供し、日本女子大学を設立する。なんともエネルギッシュな人だ。
 
一冊の本でその生涯を描こうとすると、事実を書き述べていくだけで手一杯になる。そのとき時の彼女の思いや願いまで丁寧にに描ききれているわけではないけれど、人生そのものがドラマだからね。たしかにこれをテレビドラマにしたら面白いかも、と思う。

2015/9/27