とろける鉄工所

とろける鉄工所

2021年7月24日

55「とろける鉄工所」 野村宗弘 イブニングKC 講談社

中学でも、図書ボランティアに入った。中学は、読み聞かせ活動がなくてつまんない代わりに、昼休み、たっぷり図書室に滞在して、面倒なお仕事は図書委員さんにお任せして、本棚を眺めていられる。小学校とは全然違うラインナップなので、見ていて楽しい。

驚いたことに、漫画、コミックス系も結構揃っている。小学校では、手塚治虫が少々並んでいただけで、しかも、図書の時間に、漫画は禁止、と先生が言っていたそうだ。ものすごくくだらない活字の本もあるし、すごく感動的な素晴らしい漫画もあるのに、活字は全部良くて、漫画は全部ダメって、何?と、おちびは怒っていた。私も、そう思うよ。漫画は、文化だからね。でも、それが理解されていないという文化状況も、同時にあるんだよね。

それはともかく。中学の図書室には、漫画もありなのである。ピーナッツブックスがあるのは、英語の勉強になるからかもしれないし、土地柄として、手塚治虫はズラリと並んでいる。その他にも、何冊も・・・とみていたら、新刊で「とろける鉄工所」があった。これは、鉄工所漫画なのである。

モンスターエンジンというお笑いコンビの西森くんの実家は鉄工所で、「鉄工所あるある」というネタをたまにやる。それが、不思議に面白くて、鉄工所に親近感をいだいていた。そこへ、この鉄工所漫画。しかも、読んでいたら、西森くんからエールが送られているのが判明して、なんか嬉しい。

鉄工所って、日常生活で馴染みがなかったけれど、実は、私たちの生活を確実に支えてくれている場所なのだ。駅や、橋や、いろんな場所で、溶接がされている場所をまじまじと見て、おお、これはうまい、だの、うーん、これはまずいぞ、そのうち、壊れる・・・などと考えてしまうようになったら、立派な鉄工所オタクになれるかも。

鉄工所の仕事って、大変なんだなあ・・・とおもう。熱いし、危険だし、作業服を洗濯すると、洗濯機に鉄粉がたまるし、目が焼けると涙が止まらないし、やけどは日常茶飯事だし。それでも、鉄工所のみんなは頑張ってる。結構、ほろりとさせるエピソーも挟みつつ、でも、笑わせる。というか、笑いで浄化していく。

世の中には、いろいろな仕事があって、みんながそれぞれに頑張っているから、社会が回っている。中学生が、これを読むことで、自分の知らないところにあるいろいろな人の努力、苦労に気が付き、想いを寄せることができたら、視野が広がるよなあ・・・とおもう。

いいチョイスじゃん、ナイス図書室。誰が選んだのかなあ。偉いぞ!!

追記 6・14 五巻まで読破

2011/6/13