橋本治と内田樹

橋本治と内田樹

2021年7月24日

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「橋本治と内田樹」  筑摩書房

うーむ。
橋本治も、内田樹も、一目も二目も置いている人ではあるんだが。
対談を読んでも、あんまり感じる所がなかったなあ。
部分部分では、おお、と思わないところもなくはないんだが、話がどんどん違う方向へ逸れてしまって、私が望むような深め方がないのよね。
まあ、私のような凡人が望む方向へ、この賢人方がお進みになるはずはなかろうもん。

たとえばね。
内田氏が言ってるんだけど、「先生は毛が三本多いだけでいい」って。
学生より三本多かったら、今日は一本教えて、来週は二本目教えて、再来週は三本目っていうふうに教えればいい。足りなくなったら、その間に仕入れて。
というのが、まあ、取り留めもなく、印象に残っていたりはするんですな。

あとは、「なぜ子どもたちは叱られても謝らなくなったか」って話。いけないことをしたから注意したのに、「してねえよ」って、明らかにやった子どもが言うのは、自分が受けた不快感を、相手で帳尻合わせしようとしてるからだって話。

あるいは、コンビニやファミレスで、気味悪いくらい機械的なサービス言語で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を言うのは、「この挨拶にはなんの意味もありません」というメッセージと執拗に発信しているのだ、という話。

というふうに、ところどころ、覚えてはいるんだけど、橋本さんて、わがままでしょ。どんどん違う場所に走って行ってしまう。内田さんも、決してそれを止めない。

お二人は、気持よく対談されたんでしょうけれどねえ。
私のような凡人には、今ひとつ、楽しめない内容なのでありました。

2011/7/28