ピダハン

ピダハン

2021年7月24日

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『ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観 
ダニエル・L・エヴェレット みすず書房

各所で噂を聞いていたこの本、ついに夫が借りてきた。ピダハンというのは、ブラジルの奥地、アマゾンの川の支流沿いの地域に住む原住民だ。ピダハン語をしゃべる人口は、今や四、五百人しかいない。作者は、若いころから伝道師としてピダハン社会に移り住み、ピダハン語の研究を続けてきた言語学者だ。

読めば読むほど、ピダハン語は不思議な言語だ。そして、その言語を操る彼らも、本当に不思議な文化に生きている。彼らには宗教がなく、未来を心配せず、過去にこだわらない。他者の知恵や答えを欲しがらない。今という時を楽しむ。そして、彼らは、おそらく、地上のどの民族より幸せである、と作者は気がつく。そして、彼が何を選んだかというと・・・・。

作品の最後に書かれているオチは、いろいろな人の爆笑を呼び、喜ばせたらしいが、私はしごく自然な納得できるものであるように受け止めた。それは、たぶん、私の特殊な生育歴にも関係するのだろうと思うけれど。

言語は文化を規定する。私たちは、もっと言葉を大事にした方がいい。

2012/12/4