プリニウス9

2021年7月24日

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「プリニウス9」ヤマザキマリ とり・みき 新潮社

半年ぶりの続刊。もう一度、最初から読み直さなくちゃ、と思う。前巻では、ネロがただただダメ人間だったが、もう、ここまで来ると気の毒というか、誰も止めないのがむしろ可哀想になってくる。寂しい人なんだなあ、と薄ら寒くなる。

ミトラス教という、今じゃ全然残っていない宗教の影響力を知る。その宗教が後に残るかどうかは、教祖自体の力だけじゃなく、それを広めるに際して色々な人の手を経たその人たちの力というものがあるんだなあ。ちょっと歴史がちがえば、今、世界を席巻しているのはミトラス教で、「昔はキリスト教なんて宗教もあったらしいよ」になっていたやもしれず。歴史を見直すって、新鮮。

久しぶりに唖の美貌奴隷が登場。彼女が今後どんな役割を果たすのかが楽しみでならない。一方で、カラス遣いのちびさんが家に帰ってしまって、寂しい、寂しい。どこかでまた再会できないかな。

2019/11/11