プリニウス8

2021年7月24日

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「プリニウス8」ヤマザキマリ とり・みき 新潮社

長いこと待たされました。やっと出た最新刊。なんと連載中だった「新潮45」が杉田水脈「「LGBT」支援の度が過ぎる」のせいで廃刊、文芸誌「新潮」に移籍したという経緯がありました。「新潮」は創刊百十四年で初のマンガ連載ですって。やったね。

ヤマザキマリは自分の描く漫画の登場人物をあんまり殺さない主義らしいが、史実で死んでいく人を生かしておくわけにも行かない。というわけで、じゃんじゃん人が死んでいく。それも辛い死に方だなあ。もう、皇帝ネロがダメすぎて、読んでいて嫌になる。これも史実だからしょうがないのか。

財政が苦しくなると、金持ちに無実の罪を着せて逮捕して財産を没取しちゃうってすごい。もう、日本もこうしたらどうよ、とつい考えたくなる私は貧乏人か。

一方、クレタ島に到着したプリニウス一行。クレタ島はすっごく魅力的です。遠い昔、「科学」と「学習」を購読していた私は、それらの雑誌で、繰り返しクレタ島の情報を目にした記憶がある。クレタ島は、謎と不思議と歴史が詰まったワクワクする場所。ああ、行ってみたいなあ。

余談だが、ヤマザキマリがTBSのラジオ番組「伊集院光とらじおと」の木曜日にたまに出演している。本来の木曜レギュラーである柴田理恵が地方公演中の間だけ伊集院のパートナーを務めているのだが、これがとても良い。緊張も気負いもなく、ただただ好奇心だけで楽しげに参加している。そして、会話を思いがけない方向に発展させたり、意外な視点を与えたりして、番組に膨らみを与えている。レギュラーで出てほしいなあ、と願ってやまないのだが、そのせいで連載が遅れるのは困るので、今くらいのペースがいいのかな。

2019/4/30