兄弟

兄弟

2021年7月24日

「兄弟 文革篇」余華 文藝春秋社


「兄弟 解放経済篇」余華 文藝春秋社

中野翠さん「よろしく青空」に感想が載っていて、読みたくなった本。
図書館で探したのだけど、「兄弟」でキーワード検索すると、山ほど書名が出て来てしまうし、「余華」で検索したくても、図書館の検索機はひらがな入力しかできなくて、いったい、なんて読むのが正解?とイラついてしまった。

仕方なく、カウンターに行って、「兄弟」って中国文学なんですけど・・と、言っただけで、無言で「本日返却分」の棚を指差されて、発見。
へええ。話題の本なのかしら。

読んでみたら、すごいの。めちゃくちゃなの。
何しろ、オープニングが、公衆便所の覗きの話から始まるんだから。
その覗きでつかまった男の子が、警察に突き出されたあと、どうなったかって言うと、これが、想像を絶する展開だし。

俗っぽいって言うなら、こんなにも俗っぽい物語はないような気がする。めちゃくちゃすぎて、あきれ返ってしまう。
でも、中国って、こういう国かも。
良くも悪くも、とんでもないエネルギーにあふれている。

「マオ」(ユン・チアン)を以前に読んでいたから、文化大革命の描写も、納得して読めたけど、何も知らずに読んだら、ビックリするかも。あまりにすごくて。

「文革篇」が喜劇で、「解放経済篇」が悲劇だといいつつ、実は、その逆・・と感じてしまう。
兄弟のコントラストに愕然とする物語。

これを評価すべきか、とんでもない物語、と切って捨てるべきか、意見は二分するのかなあ。
私は・・・いや、とんでもない物語でしたよ、一度読んでみる価値はあるかもねえ、めちゃくちゃだけど。
と、言うしかないように思いました。

2009/11/2