夢のような幸福

夢のような幸福

2021年7月24日

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「夢のような幸福」三浦しをん 新潮文庫

 

前回に続いて三浦しをん繋がりで。こちらは軽いエッセイだ。いやはや、軽い軽い、ぺらっぺらのうすうすだ。三浦しをんって、物語を書くと、読みやすいのにとても深くて、人間の奥底に潜むものを静かに丁寧に描き出す名手なのに、エッセイだとなんでこんなにかるっかるになるんだろう。不思議だ。
 
と夫に言ったら、そうなんだよね、と。しをんちゃん、「指輪物語」の映画をみてアラゴルンの役者にハマっていたよ、と教えてあげたら、あ、それ読む!というので渡してやったんだが、この表紙だ。電車の中で読む勇気はあるんだろうか。いや、そういうの全然平気だから、と言ってたけど、中年白髪交じりの親父がこれを熱心に読んでいるのを見たら、周囲は引くかも。ま、いいけど。
 
2002年から2003年のエッセイだって。だよね。内容が、ものすごく古いと思った。ああ、時代は過ぎた。でもね。この人、「嵐が丘」を突っ込みまくりながら読み直してるんだけど、これは結構共感する。「ガラスの仮面」全巻再読の感想も、激しく頷く。そのあたりは、いつになっても色あせないものだ、とも思った。

2018/1/28