定食学入門

2021年7月24日

61               「定食学入門」  今柊ニ ちくま新書

「定食と文学」が面白かったので、読んでみた。「定食学」って何さ、と思ったけれど、確かにこの人、定食を極めているわ。「学」っていってもいい、って思った。そもそも、こちらの本で書ききれなかった部分が「定食と文学」になったらしい。

この本に書いてあるのは、いい定食屋の見つけ方や、男心が揺れる「おかず」の数々、自分がいかにして定食学の学徒となったかの歴史、そして、フィールドワークとも言える、全国津々浦々の定食屋のレポート。深いぞ、これが。「まだ残念にして未食であるが」と書いてある店が二軒ほどあったが、ということは、他は全部食破しているのであるか!と感動する。

私も転勤族であるため、結構いろいろな街を知っているが、まあ、丁寧に歩いていること、この人。懐かしい街の話が出てくるので、読んでいて楽しかった。

私も、定食は好き。メインのおかずに、小鉢が二つ三つ、漬物に、汁物に、ご飯。バランスが良く、バラエティがあって、食べる楽しみがある。しかも、コース料理のように、食べる順番が決まっていないし、なにより高価でないのが嬉しい。また、丼ひとつ、麺だけのような食事より、ずっと豊かな感じがする。

デパートの上階にある食堂の歴史も楽しかった。昔は、デパートの食堂に連れていってもらうのが、一番のごちそうだったなあ・・・・。

2011/6/24