とろける鉄工所

とろける鉄工所

2021年7月24日

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「とろける鉄工所」 野村宗弘 講談社

以前、学校図書室で借りた本の続編。なぜ、わざわざまた記録にとどめたかというと、この中で、中国に仕事を取られたという話題が何度か出てくるから。

「だまされて。」を思わず思い出してしまった。以前は、中国に仕事を持っていかれても、しばらく待っていれば、「やっぱり駄目だった」と仕事が戻ってきていたという。中国製品は品質が悪くて使いものにならないので、やっぱりお願いします、ということになったそうだ。ところが、最近は、仕事を取られると、取られっぱなしらしい。というのも、日本の技術者が中国に雇われて指導にあたっているらしいし、良い加工機械も流れていっているから。

この漫画の中でも、結構な技術者が「中国に教えに行くかな」みたいなことを冗談交じりに言っている。うーむ。現実を反映する漫画。それにしても、こうやって日本の技術は流れていってしまうのね、グローバル経済ってなんなんだろう、とつい考えこんでしまう。

ところで、最近、学校図書室の司書さんが変わった。といっても、毎年変わるのだ。臨時採用司書が毎年夏休み前頃から来て、3月で終わり。もし継続採用されたとしても同じ学校には配属されないって、いったい市は何を考えているのだろう。その度に、図書館運営の方針は微妙に変化していく。いいのか、それで。

前の司書さんは、漫画でも読み応えがあるもの、学習につながるものは積極的に蔵書に加えていた。それによって図書館利用者は明らかに増えた。ところが、今度の司書さんは、漫画を排除しようとしている。新刊本を入れないばかりか、なんと、漫画は貸出禁止にするらしい。この司書さん、定年退職した元高校の国語教師なんだそうだ。まったく。

この「とろける鉄工所」ひとつとってみても、これを読むことで、ちょっとした身近な階段の手すりやロッカーなどあらゆるものが鉄工所で加工されていることがわかるし、そこから、世の中の仕組みや仕事について学ぶこともできる。日本の経済が世界とどんなふうにつながっているかだって考えることができる。そこらのつまんない小説を読むよりよっぽど学習になるのに。

ってか、学習にならなくたって、いいじゃん、と思うんだけどね。

2013/1/13