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「監督不行届」 安野モヨコ 祥伝社
夫が図書館で借りた本。「面白い?」と聞いたら、一言「ひく。」とだけ。どういうことだ?と思いつつ、読んだら、音を立てて、私も、ひくのがわかった。ひくぞ、これは。
安野モヨコって、「オチビサン」の人なのね。うーむ。絵柄は同じだが、芸風は違うぞ。
安野モヨコの夫は「新世紀エヴァンゲリオン」の監督、庵野秀明である。彼は、立派な絵に描いたようなオタクである。そして、この本は、立派なオタクと結婚した普通の漫画家が、どんどん影響を受けて、立派なオタクと化していく様子を描いた本である。
それにしても、すごいぞ。私は、世の中でオタクという存在が軽んじられ、特に疎んじられる理由がよくわからなかったのだが、なるほど、これを読んだらよくわかった。自分の趣味の世界を社会生活にまで広げて他者に頓着しない、他者への影響を鑑見ないその程度がただ事ではないというわけだな。
だとしても、この本は、愛の本でもある。全編に監督への愛がにじみ出ては、いる。今もちゃんと夫婦でやってるのかな、とやや心配になってネットで検索したら、とりあえず、まだ夫婦で入るらしいとわかって、私はちょっと安心した。
2013/1/28