食っちゃ寝て書いて

食っちゃ寝て書いて

2021年7月24日

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「食っちゃ寝て書いて」小野寺史宜 角川書店

「ひと」の小野寺史宜。「ひと」を読んだときは、若い人なのかな、なんて思っていたが、結構、歳は行ってるのね。

この小説は、それほどヒット作を出しているわけでもないが、自作が映画化されたこともあり、なんとか物書きだけの収入でカツカツの生活が出来る程度の小説家の物語。つまり、作者の自画像っぽいんじゃないかと思われます(笑)。

実は、割と凝った構成なのだけれど、その話をするとネタバレになっちゃう。これは、なんと2019年本屋さん大賞第二位なんだそうで、たしかに読ませる力はあるし、読後感もいい。大きな事件は特に起きないのだけれど、登場人物一人一人を好きになって、頑張れ、と応援したくなる。小説ってそうやって書かれるのか、編集者ってそんな仕事をするんだな、というのもよくわかる。

生きるって悪くないね、と思える小説って、大事。と思った。

2021/3/13