だまされて。涙のメイド・イン・チャイナ

だまされて。涙のメイド・イン・チャイナ

2021年7月24日

120
「だまされて―涙のメイド・イン・チャイナ」
ポール・ミドラー  東洋経済新報社

XANTHさんが読んでみたいといってらした本。読まれましたか?

百均の店に行くたび、私は、こんなの間違ってる、と思う。百均にはなんだってある。なぜ、これが100円で?と思うようなものが、ズラリと揃っている。そこに並んでいるものの大半は、メイド・イン・チャイナだ。なぜ、中国ではこんなに物を安く作れるのだろう・・・・。

そのひとつの答えが、この本には載っている。驚くべき事実が次々にあらわれる。ここに描かれているのは、アメリカと中国との取引だが、日本との関係においても、同じことが起きているのは間違いないだろう。

「疾走中国」を読んだ時にも思ったが、中国という国は、大変だ。タフで、無茶苦茶で、他国の「普通」が通じない。良いも悪いもなく、彼らは彼らの流儀で、ずんずんと突き進む。そして、それに慣れていないものは、ひたすら翻弄されるしかない。

小3くらいの子どもが、その日その日にうまいことやってのけていくような感覚。明らかにバレる嘘も、こっそりやってしまったズルも、子供の世界では、いつの間にか正当化され、なあなあになっていく。そんなのは、大人の目から見ればすぐにわかるし、成長すれば、バカだったなあ、と思うようなことだ。と親や保護者は思っている。だけど、子どもの数はとても多くて、大人の世界はそれに明らかに左右されている。

だからといって、子どもが悪であると決めつけていいのか、と一方では思う。子どもには子どもの世界があり、論理がある、ということを、私たちは子ども時代に知っていたではないか。それを忘れてしまったかどうかは別だし、そんな論理が大人の世界では通用しないということもまた、確かだが。それでも、子どもの世界を、私たちは簡単に断罪できるのだろうか。

何にせよ、これを読んで、私は、百均で商品を買うことに、ある種のためらいを感じるようになった。安いものが安いのには、やっぱり、理由があるんだな。

2012/10/13