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「屋根屋」村田喜代子 講談社
大好きな村田喜代子さんの新作。この人は、この人にしか書けないものを書く。ずうっと前だけど、一番驚いたのは、化学分子モデルを作る仕事をしている女性の物語を読んだ時。そんなものを作る人がいるというところから驚いちゃった。で、今回は屋根の修理屋ね。コアな仕事をしてる人を、ものすごく丁寧に書くのよね、村田さんは。
主人公の女性は、雨漏りするようになった屋根の修理にきた屋根屋と夢の中でいろんな場所の屋根を見に行く。法隆寺だったり、パリの大聖堂だったり。夢なんだけど、ちゃんと打合せて待ち合わせて行くのね。これってファンタジーなのか。
夢か現か不思議な物語。息子が高校生だって言うから、今の村田さんよりちょっと若い人の話ね、と思いました。うん、せめて四十代じゃないと、屋根屋と夢でデートは出来んなあ、と思ってしまった、五十代の私。
村田さんの書くものを、まだまだ読み続けたい。どうかお元気で、と願う。
2014/8/5